▲TOP

中国帰国者の広場 Agora for Chinese returnees

中国帰国者研究センター

中国帰国者研究を志す人へ

「中国帰国者研究」はさまざまな視座から構成される研究領域です。たとえば、歴史、アイデンティティ、教育、医療、福祉、ジェンダー、日本語、差別、表象、裁判、政策、地域、メディア、住居などの観点からこれまで研究が行われてきました。
これは、中国帰国者と総称される人々の経験の時間的な長さ(満蒙開拓から現在に至るまでの約100年間)、および、構成員の多様性(世代やどこで長く生活してきたかなど)によるものです。
そのため、中国帰国者という集団についての総合的な理解を試みると、膨大な量の理解が必要となり、つかみどころのないよくわからない人々という印象を抱くかもしれません。
中国帰国者研究をするにあたり、まずは中国帰国者の歴史(満蒙開拓、中国残留、日本への帰国、日本での生活)を押さえると理解の大枠ができるはずです。中国帰国者の歴史は、どの研究者も議論の土台にしているからです。その上で、関心のある事項にまつわる論文を読むと理解が進むでしょう。

<中国帰国者をめぐる歴史について、以下の本と論文が総合的な理解を与えてくれます>

蘭信三編(2000)『「中国帰国者」の生活世界』行路社
1972年の日中国交正常化以降に帰国した「中国残留日本人」一世と、彼女/彼らを頼って日本へ渡ってきた人々(二世や三世)のことを、アイデンティティや教育、生活、など様々な側面から知ることができる。
とりわけ1980年代に多くの「中国帰国者」が日本へ「帰国」したこともあり、彼女/彼らと日本が出会った際に立ち上がってくる問いや、ぶつかる問題が論じられている。

蘭信三編(2009)『中国残留日本人という経験』勉誠出版
「中国残留孤児」の国家賠償訴訟が2007年に一応の終結を迎えたことにより、「中国残留日本人」・「中国帰国者」らの置かれた状況が変化した中で出てきた問いの多様化がみられる。

蘭信三、伊吹唯、山崎哲編(2026)『中国残留日本人「三世・四世」という経験』図書出版みぎわ
これまでは一世や中国で生まれた三世世代が、日本へ来たことによって生じる問題が主として論じられてきたが、ここではさらに、日本生まれの三世・四世についても射程を広げ、論じられている。

他に、以下の書籍・論文も読むとさらに理解が深まります。
・厚生省援護局(1987)『中国残留孤児: これまでの足跡とこれからの道のり』ぎょうせい.
・井出孫六(2008)『中国残留邦人: 置き去られた六十余年』岩波書店.
・蘭信三(2016)「多様化する中国帰国者: ポストコロニアリズムとグローバリズムとの交錯点」『コスモポリス』10巻, 1-26.

<研究にあたり、まず押さえておくと良い事項>

・なぜ「満洲」へ日本から移民が送られたのか
・なぜ中国に日本人が残留することとなったのか
・1972年に日本と中国の国交が正常化されたこと(日中国交正常化)
・中国残留孤児と中国残留婦人の違い
・中国帰国者の日本帰国政策
・中国残留孤児国家賠償訴訟