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中国帰国者の広場 Agora for Chinese returnees

お知らせ

ブックトーク開催報告&山崎・伊吹からのコメント

執筆:森川麗華

 2026年7月18日(土)15時より、Zoomにて、ウェブサイト「中国帰国者の広場」の開設と、『中国残留日本人「三世・四世」という経験』の出版を記念したブックトークを開催しました。

 当日は、研究者や当事者をはじめ、幅広い関心を持つ方々にお申し込みいただき、申込者数は74名となりました。

 ブックトークではまず、編者の蘭信三氏より、本書全体の構成とねらいについてお話がありました。本書は、「中国残留日本人」の孫・ひ孫にあたる三世・四世の「名乗り」から出発しながら、その上の世代である二世・一世の経験と歴史へとさかのぼっていく構成となっています。三世・四世という現在の世代の経験を入り口に、「中国残留日本人」がたどってきた歴史そのものを捉え直すことが、本書の特徴の一つであることが説明されました。

 続いて、同じく編者の伊吹唯氏からは、日本生まれの「中国帰国者」三世・四世を「移民第二世代」という視点から捉えることの可能性が示されました。在日コリアンや台湾華僑など、帝国日本との歴史的なかかわりを持つエスニック・マイノリティに関する研究と比較することで、「中国帰国者」研究をより大きな「移民研究」のなかに位置づけることができ、従来とは異なる知見が得られることが示されました(第二部・第四部)。

 編者の山崎哲氏は、本ウェブサイト「中国帰国者の広場」の発案者でもあり、第一部で三世としての自身の経験を記した執筆者の一人です。山崎氏からは、三世・四世という存在の「(不)可視性」についてお話がありました。第一部に収録されたそれぞれの当事者の記述からもわかるように、三世・四世としての自己認識やそのルーツとの距離は、家族内での認識、中国の親族との接触の有無、中国にルーツを持つ人びとのコミュニティとのかかわりなど、さまざまな要因によって形づくられています(第一部)。

 また、本書の出版社である図書出版みぎわの堀郁夫氏からは、当事者自身の語りによって構成された第一部だけでも一冊の本を作ることはできたはずだが、あえて全四部の構成とすることで、「中国帰国者」や「中国残留日本人」という個別の研究領域に閉じない本にすることができた、とのコメントがありました。

 最後に、ゲストとしてご登壇いただいた城戸久枝氏から、本書を読んで感じたことをお話しいただきました。城戸氏は、ご自身が日本生まれの二世であることから、これまでは中国生まれの二世よりも、日本で生まれ育った三世・四世の経験の方が自身に近いのではないかと考えていたといいます。しかし、本書を読むなかで、必ずしも「日本生まれ」という共通点だけで世代の経験を捉えられるわけではないことに気づいたと語られました。

 その一方で、自らのルーツをたどり、家族の経験や「中国残留日本人」の歴史と向き合ってきた城戸氏の経験には、第一部で森川が記した経験とも重なる部分があります。「何世だからこうである」と単純に括ることはできないものの、世代の違いを越えて共有される経験もある――今回のブックトークは、そうした「中国帰国者」の世代間の違いとつながりの双方について考える機会となりました。

伊吹唯よりコメント
 予想以上に多くの方にご視聴いただき、またその多くの方が最後までご参加くださり、驚きました。質疑の時間には、「広場」に皆さんが関心を持ってくださっていることを感じ、とてもよいスタートになったと嬉しく思います。これから、『三世・四世』本も「広場」も、このテーマについて考え語り合うきっかけやそのような場として、広く皆さんに知っていただけるよう、これから精力的に活動していきたいと思います。

山崎哲よりコメント
 この度は多くのみなさまにブックトークへご参加いただき、心から感謝申し上げます。
今回のブックトークを通じて、『中国残留日本人「三世・四世」という経験』という本は、学術書であると同時に、中国帰国者をめぐるさまざまな人々を結びつける「場」でもあるのだと、あらためて感じました。本をきっかけに人と人とが出会い、それぞれの経験や思いが交わり、そこからまた新たなつながりが生まれていく。今回のブックトークも、そのような場の一つになったのではないかと思っています。これからも、本書、そして本ウェブサイト「中国帰国者の広場」が、人と人とをつなぐ場になっていくことを願わずにはいられません。ブックトークにたくさんの方々にご参加いただき、盛会のうちに終えることができました。あらためまして、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました!